イスラームにおける夫婦の権利・妻編

アッサラームアレイコム!

以前、イスラームでは結婚は男女の合意と契約により、

双方にそれぞれ義務と権利が生じる

と過去記事でお話ししました。
(詳細はこちら→イスラームにおける「結婚」と「女性の権利」

今日はそんな夫婦における


夫の務め 


つまり妻の権利とはなんぞや?のお話しです。


  ~夫の義務~

1)生活費の負担をすること

過去記事でもお話しした通り、

生活費は妻の経済力に関係なく夫が負担

妻には合法かつ夫の経済力の範囲内なら費用の負担を求める権利があります。

また化粧品や装飾品などのように妻しか使わないもの
妻はその費用を請求する事も出来ます。
なぜなら...

妻が美しく装い綺麗な状態で見るのは夫の権利

だから、夫に負担能力がある限り

「あのネックレス買いたいから費用出して~♪」とか

「新しい化粧品買って♪」

なんてことも妻には請求する権利があるのです。

 “男は女の擁護者(家長)である。それはアッラーが、一方を他よりも強くなされ、また彼らが自分の財産から(扶養するため)経費を出すためである。”(クルアーン 4:34)」

2)妻に対して優しく、善く接すること

夫は家族の扶養など社会的に大きな責任と負担を担っています。

ですが...

自分が重大な責務を担い、外で働いて疲れているからと

妻の話しを聞かなかったり、

彼女の感情をないがしろにしたり、

彼女を邪険に扱ってはいけません。


また、彼女に対し

どんなに小さなことでも褒める 

お礼を言う 

など妻を大切にし、

彼女が好む呼び方で妻を呼ぶなど

妻に優しく接さなければなりません。


そうそう。あと、

「俺は働いているんだから!」と

家事など家のことをしないのもいけませんよ

預言者は自らの手で繕いものをされ、家畜の餌やり、
床はきなどのを家事もよくされていたと伝えられており、
それはスンナ(推奨行為)とされています。

ですので夫にもそのように努力をする義務があります。

“あなた方の内の最善の者とは家族(妻)に最善を尽くす者であり、私は自分の家族に関して、あなた方の内の最善の者である。”(アッ=ティルミズィー)

3)妻に相談すること

採用するしないは別にして、

夫は妻に相談せずに勝手に物事を決めてはいけません。

預言者も妻達とよく相談し、多神教徒との協定の際にはその一人からの
意見も採用をするなどされていました。
 

4)夜を共に過ごすこと

妻を寝床に一人きりにせず、最低でも何日かに一度は
夫婦生活をするのは夫の義務とされています。

つまり...

夫婦別室は良くないし、 

女として見れないとか

セックスレスなんていうのは論外

ということですね。

(但し、妻が不従順である、教えに従わないなど特定の条件下においては
3日以内なら夫が妻と寝床を別にするのは許されるようです)

5)間違いは大きなものを正すこと

人間は誰でも間違いを犯すものですが、その時も細かいことを言わずに
大きなものだけを正します

6)妻を守ること

妻は夫の尊厳でもあるので、妻や彼女の名誉は
夫は命を呈してでも守らないといけません。
預言者(彼と彼の家族に平安と祝福あれ)はハディースで

「家族の為に命を落とすものは殉教者である」

 とも言われています。

だから例えば、

妻がよその人に悪く言われてもほっとく、

とか

誰かが妻を怖がらせるようなことをした、
妻を困らせたetc...でも何もしない

というのはいけません。


・・・と言ってもこれは個人的には一長一短なんですが(^^;

私も昔、ぎっくり腰でドクターストップがかかっている中、
どうしても代わりがいないからと勤務を要請されて夫が
どういうことだ!と職場まで乗り込んできたことがありますが、
(あ、その後は診断書通りお休みは頂きましたよ)

職場まで来られても逆に何、あの人?状態なので...。

ですが、ムスリム男子はやはり

「妻を守る」という意識はとても高いです。

職場乗り込み事件はともかく、
妻を煩わせる変な人は基本、夫が追い払ってくれるので
そういう部分では頼もしいと言えます。

7)夫婦の秘密を他人に漏らさないこと 

妻とのプライバシーを夫は守らなくてはなりません。
例えば外で妻をネタにする、なんていうのは良くないということですね。
もちろん、これは妻も一緒です。

8)(イスラームに基づいた)妻への助言と指導

夫は一家の長、リーダーなので家族をイスラームから逸脱させず、
地獄の業火から守る為に、禁じられたものは禁じ、
義務は命ずるなど適切に指導をしなければなりません。

また妻に対してイスラームについて学ばせるのも義務

なので、

自身が教えたり勉強会があれば積極的に行かせてやったり、
妻に学ぶ機会を与えなければなりません。

“汝らの富や子女は、一つの試みに過ぎない。アッラー、かれの御許に(だけ)偉大な報奨はある。”(クルアーン 64:15

“汝ら信仰する者たちよ、人間と石を燃料とする火獄から汝ら自身と汝らの家族を守れ。”(クルアーン 66:6

9)妻に対し侵害や、度を越した態度を取らないこと

夫婦間に問題が生じたときは段階的に
まずは訓戒を用いながら助言をし辛抱強く
さなければなりません。

これを続けても効果がない場合は寝床を共にしない、
夫婦生活をしないといった少し強めの態度

これでも駄目なら(コーランの規定上は)軽くなら打つことは許されます。

ただし、

報復や痛めつけるために暴力をふるってはいけないし、
顔など敏感な場所を叩いてはならず、
怪我をさせたり痣になったりするほど
強く叩くのはハラームです。

この軽く打つ、というのはもちろん 
DVを許すという意味では決してなく
あくまであの手この手を尽くしても無理な場合のみの最終段階であり、

それ以外の妻への暴力は
一切許されることはありません。

預言者は妻達はもちろん、たとえ奴隷に対しても
一切手を挙げなかったと伝えられています。

また、イスラームでは妻に対して辛抱強く優しく接するように求められています。

“出来るだけ仲良く、彼女らと暮しなさい。汝らが、彼女らを嫌っても(忍耐しなさい)。そのうち(嫌っている点)にアッラーからよいことを授かるであろう。”(クルアーン 4:19)

 「アッラーと最後の日を信じる者は、隣人を傷つけてはならず、女性には優しく諭すべきである。なぜなら女性は肋骨から作られたからである。肋骨の最も曲 がった部分は上部であり、もし無理やり真っ直ぐにしようとすればそれは折れてしまうだろう。そのままにしておけば曲がったままだろう。それゆえ女性には適 度に諭しなさい。(アルブハーリー、ムスリム)

10)妻の定めた条件を守ること

イスラームでは結婚の際に 
マハル(婚資金)の額、
結婚後の諸条件
離婚になってしまった場合はどうするか
などを細かく定めることが出来ます。

例えば、妻が条件として自分以外の女性を娶らない、
という条件を出していれば
社会的、経済的に許され可能であったとしても娶ってはならないし、
勉強したいことがあるから○○の学校に行きたいとあれば
通わせてあげないといけません。

また、夫は自分が食べたら同じように食べさせ、
自分が着たら同じように着せないといけない、
とも言われています。

だから、自分ばかり新しい物を買ったり、
外食などを楽しんだりするのもNG、ということ。

このように、イスラームでは私達がイメージする以上に

妻に対して様々な権利が与えられており、

家庭内でのその地位(特に母として)は確かなものとなっています。

では、次回は夫編です。

マァサラッマ~

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