財政理論の歴史から社会の発展がわかる!②

前回はこちら→財政理論の歴史から社会の発展がわかる!

前回は、経済理論のなかで大きなカギとなった
「ケインズ」の登場までをみました。

今回は、この「ケインズ」の理論が行き詰まり、
現在の新しい理論が登場するまでをみていこうと思います!




「ケインズ」理論の失敗

1970年代に世界同時不況が発生しました。
この不況は、失業率の悪化だけならまだしも、
それに加え物価の上昇も起こるという
スタグフレーションという現象を起こし、
「ケインズ理論」ではこの状況に対処することができませんでした。

このため、「ケインズ理論」に対する批判が出るようになりました。

「フリードマン」は、
ケインズの提唱する、国家に裁量をもたせる財政政策は、
短期的には有効であるが
長期的には効果がないとし、
政府はむしろ財政収支のバランスを保ち、
通貨供給量も一定とすることで、
物価上昇を防ぐことが重要であるとしました。

また、「ケインズ理論」は、短期的にも無効であるとし、
政府が裁量的に経済政策をしても、
市場はその結果を正しく予想して行動するため、
その政策は結果的に効果が出ないとした説も出ました。

ケインズの、政府の役割を大きくすべきという主張にも反対の説が出て、
政府は需要を作ることよりも
供給する側を高めるべきであり、
そのために減税や社会保障の規模縮小などを行い、
政府の財政規模を縮小すべきであるとされました。

政府の規模に関しては、
小さくあるべき→大きくすべき→小さくすべき
と理論に変遷がみられますね。

現代の財政理論は、、、

現代の財政理論は、アメリカの財政学者「マスグレイブ」のものが主となっています。

この理論は、ケインズの考え方を基盤とし、
そのうえで厚生経済学の考え方も導入したものとなっています。

厚生経済学とは

厚生経済学とは、「A.Cピグー」が提唱した、
経済の研究において、社会の福祉を中心にみる経済学のことで、
社会の福祉を基準にして、経済政策の良否を判断したり、
その改善の方法を見出すことを目標とするものです。

「マスグレイブ」は、「ケインズ理論」と
この厚生経済学を組み合わせ、
政府の財政の役割を3つに分類しました。


政府の財政の3つの役割とは


①資源配分の機能
効率的な資源配分をするために、
民間経済で生じる市場の失敗を是正する機能のことです。

市場の失敗とは、
*政府によって提供される消防や警察、社会サービス、や道路などを指す公共財
*お金のやり取りがなく、他者に便宜を与えてしまう外部経済
*逆に、対価なく他者に損失を与えてしまう外部不経済
*電力や水道、ガスなどの自然独占
のことを指します。

これらの失敗を是正するために、
政府は公共財を提供し、
課税や補助金政策を使い分けることで
資源を公平に分配する働きをするとされます。

②所得の再分配機能
政府は、格差の是正のために、
累進課税や社会保障の給付によって、
高所得者から低所得者へと財を移転する働きをします。

③経済安定化機能
政府は、雇用の安定性と経済成長を実現させるため、
景気を調整する機能ももちます。

不況期には、政府は減税や公共事業の拡大を行い、
好況期には、増税や公共事業の抑制を行います。

また、所得が高いほど税率も上がる累進課税制度と社会保障制度の二つは、
景気の状況に応じて、自動的に景気を調整する機能をもちます。

これら3つの機能が、現代の政府の財政の役割とされていますが、
今後、世界の経済状況がどのように変化するのかはわかりません。

財政理論の歴史が変化してきたように、
その時代に合った理論が必ず出てくると思います!

No comments:

Powered by Blogger.