ハーキムは神である?ドルーズ派がクルアーンから去った訳
アッサラームアレイコム!
前回、触れたドルーズ派。(詳細はこちら!)
今日は
なぜ彼らはクルアーンを棄て去ったのか?
その本題に入ります。
イスマイール派との決別
イスマイール派というのは...
簡単に言うと西暦756年、
シーア派6代イマームのジャーファル・サーディクの死後、
長男のイスマイールを
「彼こそが後継者だ---------!!!」
と支持したグループです。
(シーア派ではその弟ムーサー・カーズィムを7代イマームとします。)
彼らは9世紀になると...
イスマイールの息子ムハンマド
が終末の時に
救世主マフディーとして再臨する、
というメシヤ論を主張し始めます。
マフディー?
マフディーって何?なんか聞いたことあるぞ?
という方はこちらの記事をどうぞ
→「イスラームにおけるメシヤ、マフディーとは何者?」
平たく言うとイスラームで
この世の終末の前に現れて世界を正義で治める。
という人です。
では、本題に戻りましょう。
イスマイール派では、クルアーンの真の意味は
奥義的解釈をすることで
初めて真理に到達することが出来る。
そして、
その奥義的解釈はマフディーの
再臨によってなされ、再臨の際には
それまでの預言者による従来のシャリーア(イスラム法)は破棄、
クルアーンの内的意味に
則った新しい法によって世界を支配する。
と考えられています。
つまり、クルアーンには
字面の通りの表面的な解釈、と
その奥に隠された真の意味の解釈、
とがありその奥義の解釈を出来るのは
再臨するイマーム=ムハンマド・イブン・イスマイール
彼のみである。
そして、彼の再臨によりそれまでの法は破棄される。
というもの。
ですが、ドルーズ派では
ファーティマ朝カリフ、ハーキムを
神の権化
として
預言者やイマームよりも更に高い位階においています。
また、
従来の外面的意味や奥義的解釈で
真理を得ようとする信仰のあり方では
真の教えには辿りつけない。
そして、終末の時はこのハーキムが再臨し、
他の全ての宗派・宗教を滅ぼす。
と考えられており...
ハーキムを神の権化=神とし、
他を全否定する排他的な思想。
それが独自の経典とクルアーンの破棄に繋がっていったんですね。
とは言え、彼らの信仰の中核には
「唯一神」
があることには変わりはないようなのですが...
しかしながら
人間であるカリフ・ハーキムを受肉した
神の権化として神そのものに祀り上げている。
という点でやはり
スンナ派やシーア派とは一線を介している
と言えます。
*シーア派では諸イマームを神によって選ばれた預言者の後継者、
神によって叡智が与えられた預言者と並ぶ無謬の人々、として崇敬しますが、
彼ら自身がアッラーと並べられて崇拝の対象になることはありません。
独自の経典を持ち、クルアーンを棄て去ったにも関わらず
イスラムの一員とみなされているドルーズ派...
これからもそんな彼らの教えを探っていきたいと思います。
それではまた次回。マァサッラーマ~
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