アリーは神である?~シーアの異端・アラウィー派~


 (バッシャール・アサドーWikipediaー)

アッサラームアレイクム

  今日は臨時記事です。ひもくみさんがシリア内戦について触れて下さっているので、今回はアサド政権が信奉するアラウィー派とはなんぞや?ということで軽く触れたいと思います。

アラウィー派って?



 一言で言うと「異端」と言えそうです。イスラーム神秘主義と、シーア派にキリスト教、土着宗教のミックスとでもいいましょうか、また後でも述べますが、イスラームとは異なる思想が大分入り込んでいると言えます。

 アラウィー派は12イマーム派の10代イマーム、アリー・ハーディ(彼に平安あれ)の側近ムハンマド・イブン・ヌサイルが自らを「バーブ(真理にいたる門)」として始めたとされています。その為「ヌサイリー派」とも呼ばれます。信徒のほとんどはシリアに居住し、シリア人口の10%強を占めます。
 調べたところ、フェニキアの太陽神と月神を崇める古代宗教にもルーツがあり、シリアのイスラム化と共に吸収された、とも言われているようです。
 また、神秘主義要素の強いイスマイール派(シーア派の後継者争いで分派した宗派) の影響も受けています。
 

教義として… 
・初代イマーム、アリー(彼に平安あれ)をアッラーの化身として神格化し、崇拝。
・女性には魂がなく、教義は男性のみの秘伝。その教義を異教徒にもらした者は死の制裁を受ける。
・輪廻転生を信じる。(別の分派ドルーズ派も輪廻転生を信じ、こちらも独特な教義を持ちます。)
 ・三位一体思想をもち、太陽や月になぞらえて信仰。

 ここで一番問題なのは、アリー(彼に平安あれ)の神格化ですね。これは以前に「シーア派にまるわる誤解~シーアの言い分~」の中でも触れましたが、シーア(12イマーム派)に限らずイスラームではアッラーの他に何かを配することは偶像崇拝であり、イスラームの原理原則に反します。
 また、クルアーンでは同じ一つの魂から男性と女性は創られた、とあるので女性には魂がない、という概念もイスラームとは異なりますよね。
 
 その他、預言者ムハンマド(彼と家族の上に平安と祝福あれ)やペルシャ出身の教友サルマーンもアリー(彼に平安あれ)と共に信仰の対象とする、キリスト教の祝祭も祝い、ムスリムの義務である断食や巡礼などもしない、などどちらかと言うとむしろキリスト教に近い、特殊な教義をしています。また、女性もヒジャーブなど身体を覆う装いをしないようです。

 実はシーアからの分派にはアラウィー派以外にも特殊な教義やイスラームとは異なる思想を持つもの(イスマイール派、ドゥルーズ派、アラヴィー派など)が多々あり、このシーア(12イマーム派)と分派の混同もしばしばシーアへの誤解の元となっています。(実際のところシーアには無い、非シーアの異端思想がシーアに帰されて「だからシーア(12イマーム派)はカーフィル(不信仰者)」といった非難は多数見かけます。と言っても確かに12イマーム派にも一部に根拠不明なハディースや、そらスンニーも怒るわ...、みたいなものも散見はしますが。機会があればインシャアッラーまた触れますね。)

*「シーア」とは12イマーム派のことであり、それ以外の12イマーム派から派生した分派は原則、シーアとは言えません。シーアから派生しているので便宜上シーア諸派としてシーアカテゴリーに入っていますが、これらの分派はシーアとはまた異なります

  それでは、今日はこの辺で。他の分派に関してもインシャアッラーまた少しずつ機会を設けてお話ししていけたらと思います。

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