イスラーム界の禁書...『神曲』の世界を覗いてみた

 
 ドレの神曲

アッサラームアレイクム
今日は路線を変えてコネタ、イスラームの禁書についてです。

「禁書」

 読んで字の如く禁じられた書、ですね。
イスラームで禁書といえば『悪魔の詩』が有名ですが
最近聞いたところでは14世紀のイタリアの詩人ダンテの『神曲』
イスラーム界では冒涜している、としてタブーとなっているようです。

実は私、大昔(改宗する前ですよ)に『神曲』を買ったことがあり...
(まさかムスリムになるなんて思っていなかったので...)
家に本があるんですね。

で、最近イスラーム世界ではタブーになっていると小耳に挟み...
主人にも聞いてもよく分らないということだったので(そりゃそうですよね...)

まあ、手元にあるんだし、と思ってちょっと冥界を覗いてみました。
(読むんかい!っていう突っ込みはやめて下さいね...)

『神曲』

地獄篇、煉獄編、天国編の三部作です。
まずは地獄篇から...よくある地獄の描写です。
層状になっていて犯した罪の種類や程度によって人々が振り分けられ罰を受けています。
一層目から始まり、

そうよね~これはいけないよね~とか、

コーランにもこういうシーンあったな~とか、

うわ~怖い...ほんと火獄行きにならないようにきちんとしなきゃ...

とか何とか思いながら順番に地獄巡りをしていると...

はい、ありました。問題の個所です。

場所は地獄の第八層目(かな~り下)の第八園「邪悪の壕」。

どうやらここに預言者様をぶち込んだようですね。
それもアリ様も一緒に。
ここでは人の心を惑わした者はその胸を、
よけいな考えを吹き込んだ者はその顔を鬼が叩き切ると。

いや~とんでもない侮辱。
ダンテさん、これがもし現代なら死刑モンです。でなかれば誰かに殺られています。
 

でも...この『神曲』は14世紀、約600年前の作品。
こう考えると現代に蔓延る宗教の問題や偏見、宗教を悪用した争いは
やっぱり根深く、長い歴史の中で人々の間に息づいていたのかな、
とも何だか考えさせられる作品でもありました。

文学的な価値もやっぱりそれだけ高いんでしょうけどね。
だからかつての私も興味を覚えて買ったのでしょうし...
例の冒涜シーンと色々な人を地獄に放り込んでしまうのはともかく、
それ自体は読んでいて面白いです。

だけど、来世について、それをネタや題材としたりむやみに語ったりするのは
禁じられていると聞きました。
そういう意味でもやっぱりこれは「禁書」なのかも知れませんね。
  

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