都合の悪いことは全部、人のせい?~自己有利の法則~
こんにちは。
今日も認知症のお話しです。
認知症には中核症状と周辺症状があることは以前お話ししたかと思いますが、それ以外にも認知症には様々な法則があり、その一つに「自己有利の法則」と呼ばれるものがあります。
自己有利の法則とは何か?
これは「自分にとって不利なことは絶対に認めない」というものです。
ですので、以前「物盗られ妄想」の回でも少し触れたと思うのですが、自分がどこかに置いてなくしたの「盗まれたんだ!」と騒いだり、つじつまの合わないことを言ったり、トイレで失敗をしてしまっても「犬が来てやった」など誰かにせいにしたり、ということが起きます。
これは自己防衛の為に起きる本能的な反応なのですが、認知症の方は取り繕いが上手になるので一見は病気に見えず、ただ「平気で嘘をついたりごまかしたりする人」といったように捉えられてしまうことがよくあるんですね。
でも、考えて欲しいんです。
そもそも、私達人間というのはなかなか自分の衰えや能力の低下といったものを認めがたい生き物なんですね。
例えば20代、30代でも頭では分かっていても、徹夜が出来なくなったりお化粧のがノリが悪くなったり、体力が落ちたり(それでも世間的にはまだまだ若いんですが)といったことで落ち込んだり、色々なことでなかなか加齢を認めたくなかったり、直視出来ないことってあると思うんです。
そして、年配の方でも「まだまだ若いモンには負けん!」とか老いを認めがらず、無理をする方ってよくいますよね。
若い世代ですら老化を認めて受け入れるのは易しいことではないのに、それが高齢になると、そして認知症のように脳機能の低下があるとどうなるでしょうか?
高齢になると健康で障害がなくてもどうしても昔よりは(相対的に)能力は低下してしまいます。認知症のように脳に障害があると、それはますます顕著になります。
これは自己保存のメカニズムというのものなのですが、人は本能的に能力の衰えや生存に必要なものの喪失を認めたがらない傾向があります。 ですが、健康な人なら理性や推測など知的機能を働かせることで社会に適応出来るのですが、認知症はそもそも知的機能が低下して日常生活に支障を来している状態、ですから当然、私達のように理性で本能的な部分は抑制をするのは難しくなります。
そして、この自己保存のメカニズムで自分の失敗などを認めず隠そうとするので、それが嘘やごまかし、矛盾した言い分という形で現れるんですね。
ですので認知症の方が失敗を認めなかったり、あからさまに嘘をついたりごまかしたりというのは認知症の一つの症状であり自然なことなのです。
自己有利の法則。どう付き合ったら良い?
まずはその人が嘘をついたり、ごまかしたり、矛盾したことを言って非を認めないのは防衛本能の為に起こっている症状であること、疾患の為にそのようになってしまっている。ということを念頭に置きましょう。
・話しを聴いて、言い分を認める
「いや、絶対にあなたやったでしょ」と思ってもをそこはグッと堪えましょう。そして、相手の話しを聴きましょう。自分で物を失くして「誰かが勝手に入って盗ったのよ、困るわ~」なんて言われても「そっか~、困ったね~。」「大変だったねといった風に共感してあげて下さい。
・失敗を責めない
仮に自分の親や祖父母がトイレで失敗をしたとしても、「汚したでしょ!」なんて責めないこと。それでなくても排泄はデリケートな問題でその人の尊厳にも関わりますからサラッと、掃除しとくね~で終わらせる。
料理中に火をかけているのを忘れてお鍋がコゲコゲになったとしても、(料理してくれて)ありがとうとでも言って、あとは自分がするから休んでて~と交代するなり、一緒に作るなり...色々と対応は出来ます。
心の中では「マジか...」と思ってもそこは笑顔で。自尊心を傷けつけないようにさりげなく誘導して失敗を最小限に押さえましょう。そして、押し問答もしないことです。
それでも言い合いになってしまったら?
と言っても私達も人間なので、いきない自分のせいにされて「は?(怒)」となったり、「いや、違うでしょ?」と否定してしまったり、言いあいになったりと言ったこともあるかと思います。
そういう時はいったん場所を移動して距離を置いて冷静になりましょう。そして落ち着いたら(例え向こうは覚えていなくても)「さっきはごめんね」とまたやり直せば良いんです。
認知症介護は対応一つで随分と変わります。もし身近にこんな方が居たら、「病気の為に本能がそうさせているんだ」と思って、否定をせずに接してあげて下さいね。
認知症にはその方独特の世界がありますので、それを私達が受容することで、また違った世界が見えると思います。
それではまた次回^^
今日も認知症のお話しです。
認知症には中核症状と周辺症状があることは以前お話ししたかと思いますが、それ以外にも認知症には様々な法則があり、その一つに「自己有利の法則」と呼ばれるものがあります。
自己有利の法則とは何か?
これは「自分にとって不利なことは絶対に認めない」というものです。
ですので、以前「物盗られ妄想」の回でも少し触れたと思うのですが、自分がどこかに置いてなくしたの「盗まれたんだ!」と騒いだり、つじつまの合わないことを言ったり、トイレで失敗をしてしまっても「犬が来てやった」など誰かにせいにしたり、ということが起きます。
これは自己防衛の為に起きる本能的な反応なのですが、認知症の方は取り繕いが上手になるので一見は病気に見えず、ただ「平気で嘘をついたりごまかしたりする人」といったように捉えられてしまうことがよくあるんですね。
でも、考えて欲しいんです。
そもそも、私達人間というのはなかなか自分の衰えや能力の低下といったものを認めがたい生き物なんですね。
例えば20代、30代でも頭では分かっていても、徹夜が出来なくなったりお化粧のがノリが悪くなったり、体力が落ちたり(それでも世間的にはまだまだ若いんですが)といったことで落ち込んだり、色々なことでなかなか加齢を認めたくなかったり、直視出来ないことってあると思うんです。
そして、年配の方でも「まだまだ若いモンには負けん!」とか老いを認めがらず、無理をする方ってよくいますよね。
若い世代ですら老化を認めて受け入れるのは易しいことではないのに、それが高齢になると、そして認知症のように脳機能の低下があるとどうなるでしょうか?
高齢になると健康で障害がなくてもどうしても昔よりは(相対的に)能力は低下してしまいます。認知症のように脳に障害があると、それはますます顕著になります。
これは自己保存のメカニズムというのものなのですが、人は本能的に能力の衰えや生存に必要なものの喪失を認めたがらない傾向があります。 ですが、健康な人なら理性や推測など知的機能を働かせることで社会に適応出来るのですが、認知症はそもそも知的機能が低下して日常生活に支障を来している状態、ですから当然、私達のように理性で本能的な部分は抑制をするのは難しくなります。
そして、この自己保存のメカニズムで自分の失敗などを認めず隠そうとするので、それが嘘やごまかし、矛盾した言い分という形で現れるんですね。
ですので認知症の方が失敗を認めなかったり、あからさまに嘘をついたりごまかしたりというのは認知症の一つの症状であり自然なことなのです。
自己有利の法則。どう付き合ったら良い?
まずはその人が嘘をついたり、ごまかしたり、矛盾したことを言って非を認めないのは防衛本能の為に起こっている症状であること、疾患の為にそのようになってしまっている。ということを念頭に置きましょう。
・話しを聴いて、言い分を認める
「いや、絶対にあなたやったでしょ」と思ってもをそこはグッと堪えましょう。そして、相手の話しを聴きましょう。自分で物を失くして「誰かが勝手に入って盗ったのよ、困るわ~」なんて言われても「そっか~、困ったね~。」「大変だったねといった風に共感してあげて下さい。
・失敗を責めない
仮に自分の親や祖父母がトイレで失敗をしたとしても、「汚したでしょ!」なんて責めないこと。それでなくても排泄はデリケートな問題でその人の尊厳にも関わりますからサラッと、掃除しとくね~で終わらせる。
料理中に火をかけているのを忘れてお鍋がコゲコゲになったとしても、(料理してくれて)ありがとうとでも言って、あとは自分がするから休んでて~と交代するなり、一緒に作るなり...色々と対応は出来ます。
心の中では「マジか...」と思ってもそこは笑顔で。自尊心を傷けつけないようにさりげなく誘導して失敗を最小限に押さえましょう。そして、押し問答もしないことです。
それでも言い合いになってしまったら?
と言っても私達も人間なので、いきない自分のせいにされて「は?(怒)」となったり、「いや、違うでしょ?」と否定してしまったり、言いあいになったりと言ったこともあるかと思います。
そういう時はいったん場所を移動して距離を置いて冷静になりましょう。そして落ち着いたら(例え向こうは覚えていなくても)「さっきはごめんね」とまたやり直せば良いんです。
認知症介護は対応一つで随分と変わります。もし身近にこんな方が居たら、「病気の為に本能がそうさせているんだ」と思って、否定をせずに接してあげて下さいね。
認知症にはその方独特の世界がありますので、それを私達が受容することで、また違った世界が見えると思います。
それではまた次回^^
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