財布を見つけてあげたら犯人に!?認知症の物盗られ妄想とは

こんにちは。Sawaです。
今日は路線を変えて認知症について。初期から中期によく見られる「物盗られ妄想」についての原因と対処法についてのお話しです。
皆さんは身近でこんな話しを聞いたことがありませんか?お義母さんが財布を盗んだだろ!と疑ってくる...お祖父ちゃんがいつも自分で物をどこかにやって「盗まれた!」 と騒いでいる...
これ、もしかしたら「物盗られ妄想」かも知れません。


そもそも「物盗られ妄想」とは何でしょう?

これは認知症の症状の一つである”記憶障害”が原因で、しまったものが見つからない・どこにあるのか分らない、といった焦りの気持ちから起こる症状です

想像してみてください...
認知症の記憶障害は記憶が一連の「エピソードごと」ごっそり抜け落ちるのが特徴です。つまり記憶に空白が生じるんですね。

その状態であなたは財布をいつも通り、普段使っている鞄から出そうとします。でも鞄には入っていない。どこを探しても無い。しかし、あなたはその財布をどこかに移した記憶が全くないので、どこにあるのか見当もつかないし、あちこち探すけれど見つからない...。「え?財布どこ?なんで無いの?」とパニックになりますよね?

これが障害を持たない人なら冷静になってよーく思い起こすと「あ、そういえば...」と思いだしたり、いったん気持ちを切り替えたりということも出来るのですが、認知症をお持ちの方はそもそも「財布をどこかに移した」という一連の記憶自体が無いので、思い出しようもないし気持ちも上手に切り換えることが出来ないので、焦って「無い無い無いどこに無い!なんで?...盗まれたんだ!」という状態に陥りやすいんですね。

もちろん、周囲から見たら盗まれた形跡もないし 、そんなことないよ~と言うのですが本人にしてみたら「財布を触っていないのに鞄にない」「思い出せない」といった焦りと混乱の気持ちが背景にあり、「盗られたに違いない」という思い込みも出来上がっているので、いくら言ったところで通じません。

そして、それがひどくなると「嫁が盗んだ!」とか「息子に盗られた!」という訴えになり、身内は困ります。また、このぐらいの時期というのは実は本人も「何か変だ」と病識がある場合もあり、取り繕いがとても上手くなるので普段から接していない人だと認知症と気付かないこともあり...一番よく面倒も見て気にかけている人が悪者に、というのもよくありがちです。



それでは「物盗られ妄想」にはどのように向き合うと良いのか?

まずは「財布を盗られた」「困った」といった気持ちに共感することが大切です。次に一緒に探すなどして気持ちを落ち着かせるようにします。
もちろん認知症の程度によっては自分がどこに置き忘れたものでなく、昔処分したとか買い換えたとか紛失したとか何かしらの原因で既に存在していない、そもそも”もう持っていないもの”を「盗られた!」といって探している場合もあります。
この場合は探したところで当然見つからないのですが、それでも一緒に探してあげて下さい。なぜなら認知症の方には、私達とは違うその方特有の「世界」があるからです。ですのでその世界を否定してはいけないし、例え見つからなかったとしてもその方にとって「一緒に困って探してくれた」という、寄り添って共感する気持ちが大切だからです。


次に、注意点です。
認知症の方と一緒に物を探していて、それが見つかった場合、絶対にあなたは第一発見者になってはいけません「あったよ~!」などと持っていく、なんていうのは厳禁です。

何故か?それをやってしまうとあなたが「犯人」にされますですのでもし発見しても「この辺りは?」「念のため、もう一回ここも探したら?」といった風に上手く誘導して、本人に見つけてもらうようにすることが大切です。もちろん見つかったら一緒に喜んで気持ちを分かち合って下さいね♪

でも、あなたが発見するとなぜ「犯人」にされるのでしょう?
それはですね...認知症の方にはまず自分に不利なことを認めない、という傾向があります。そして「物盗られ妄想」は背景にどこかにやったけど思い出せない、記憶がない、自分はいじっていないし盗られたに違いない、といった気持ちがあります。
ですので、病識があると自分がどこかにやってしまったっぽい...でも記憶もないし思い出せないと、かすかに分っていたとしてもそれを受け入れられず、そこに「盗まれた!」という思い込みも加わって妄想が発動しているので、もしあなたが見つけてそれを持っていってしまうと「ほら、あなたが盗んだから隠し場所も分かるんだろう」「あなたが盗んでそこに隠したのを出してきたんだろう」と新たな妄想が生じるんですね。
だから第一発見者になってはいけないんです。ですので、もしあなたがお祖父さん、お祖母さん、あるいは両親や義理の両親などが認知症を患って、疑いをかけられたとしても「何言っているのよ!」とその辺をババババーッと探して見つけ出して「ほらこんなとこにあったじゃない!」「自分が置き忘れたんじゃないの!」なんていうのはやってはいけません。墓穴を掘ります。

だからあなたは決して発見してはいけないのです。

「物盗られ妄想」との付き合い方は

1.共感し、一緒に探して落ち着いてもらう
2.自分で見つけてもらう
3.嘘をついたり妄想で物を言ったりするのは認知症の症状なので大らかにつきあう


認知症とのお付き合いは大変ですが、 その症状を知れば対応もしやすくなります。
そして、認知症の方は時として私達に本当に無邪気で素敵な笑顔を見せてくれるし、楽しい時間を共有させてくれます。
私はイライラすることもありますが、そんな認知症の世界が好きです。
皆さんももし身近にこんな方がいたら大らかな気持ちで付き合ってあげて下さいね♪

それではこの辺で。

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