人格が変わる?自分が分らなくなる?認知症って何?

こんにちは、Sawaです。
今までずっとイスラーム関係の記事が続いていましたが、今日は趣を変えて「認知症」についてお話しようと思います。


最近、テレビでも認知症関係の番組やコーナーも多いし、自治体でも認知症サポーターやら脳の若返り教室やらと何かと認知症関係の取り組みがありますが...

やはりそこには訳があって...

現在高齢者(65歳以上の人ですね)が25.9%(平成26年現在)が占める超高齢社会の日本においては今後も高齢者と認知症によってサポートを必要とする方の増加が見込まれており、その予防や対策が急務なんですね。
(実際のところ平成25年現在で徘徊などで行方不明になって警察に届けられた認知症高齢者の数は1万を超え、身元不明のまま保護されている方もいたり、徘徊したまま線路内に入り込んで事故になり訴訟問題になったりと社会的にも大きな問題になっています。 )

超高齢社会とは高齢者が人口の21%を超えた状態を指し、日本では2007年に突入しました。その前の段階としては7%で「高齢化社会」、14%で「高齢社会」と呼ばれるのですが、日本が高齢化社会に達したのは1970年、高齢社会は1994年でその間はわずか24年、超高齢社会へも37年で移行しており、日本の高齢化は先進国の中でも群を抜いて進んでいます。
(因みにドイツでは高齢化社会から高齢社会への移行で42年、フランスでは114年と言われているそうで...日本では短期間で急速に進んでいることが分かります。)


それでは、いよいよ本題「認知症」について。まずは定義から。

認知症とは、後天的な「何らかの脳への器質障害によって、記憶障害認知機能障害が生じ、それに伴い社会行動や社会機能が低下し、生活に支障をきたす状態を指します。
(『認知症ライフパートナー検定試験』応用編テキストより)

器質障害とは脳が委縮したり、脳梗塞などで一部が損傷したりして脳が変形してしまっている状態です。そして、それにより記憶などが妨げられ、今まで理解していたことや出来ていたことが出来なくなったり、感情が抑えられなくなったり、と脳の機能が低下してしまい、日常生活に支障をきたしてしまう状態が認知症。
つまり「認知症」というのは何らかの障害が原因で記憶障害を伴いながら脳の機能が持続的に低下して生活に支障をきたしている状態を示す言葉であり、それ自体は病名ではありません。 そしてその原因疾患はアルツハイマー病、ピック病など100以上あると言われています。

記憶障害は認知症では必ず現れます。これは専門的には「中核症状」と呼びます。
中核症状にはその他に判断力の低下、見当識障害(時間や場所、人が分らなくなる)、実行機能障害(排泄や服を着替えるなど目的を伴った一連の行動が出来なくなる)高次脳機能障害(1:言語機能が障害される、2:その機能には問題はないが、五感が正常に働かず見たことや聞いたことを正しく把握するのが難しくなる、3:身体は問題なく動くが物の使い方が分らなくなるなど、行動の方法が分らなくなる)があり、我々がよくイメージする徘徊や妄想などは「周辺症状」と呼ばれ、その人の性格や周りの対処法、薬の影響などで出る人と出ない人がいます。)


では定義が分かったところで、次は認知症の分類にいきます。

・アルツハイマー型認知症・・・50%~60%
・レビー小体型認知症・・・20~25%
・血管性認知症 ・・・15~20%
・その他(前頭側頭葉型認知症、正常圧水頭症 など)・・・10%

となっておりアルツハイマー型認知症レビー小体型認知症血管性認知症の3つを「3大認知症と呼びます。
大まかな目安で変動もあるので総数が100%ぴったりではないですが...イメージとしては
もし10人認知症の方がいたら、少なくとも半分はアルツハイマー型、1人は水頭症などその他の認知症、あとの4人のうちレビー小体型は2人また3人、残りが血管性認知症、ぐらいな感じです
(数字にはばらつきがありますが、レビー小体型、血管性はどちらも20%前後。資料によって両者ともアルツハイマー型についで多い認知症、とされているようです。また、認知症はアルツハイマー型と脳血管性、その混合型で8割ほどを占める、ともいわれています。)

*少し前までは、アルツハイマー型が50%、レビー小体型と血管性、前頭側頭葉型がそれぞれ15%程でその他が5%と言われており、上記3つの認知症に前頭側頭葉型を加えて「4大認知症」と呼ばれていました。ただし若年性の認知症の場合は前頭側頭葉型が多く、アルツハイマー型の次に多いタイプになります。


それではこの3大認知症と前頭側頭型認知症、特徴にいきます。

<アルツハイマー型認知症>
・脳全体にアミロイドベータ蛋白、異常リン酸化タウ蛋白と呼ばれる物質が溜まり、脳細胞が死んでいくことで脳に委縮が生じます。
初期はまず海馬周辺から委縮し、記憶障害が生じます。その為、初期は”ちょっとした物忘れ”から始まり、加齢による正常な健忘と間違えられがちです。また活動性の低下などからうつ病ともよく間違えられます
・記憶障害はまずは最近のものから阻害され、症状が進んでも昔のことは比較的よく覚えています
・女性に多く、病状は穏やかに悪化をしていきます。ただし、その進行はパターン的、穏やかな下り坂という特徴があり、症状や本人の状態から現在の進行度、今後どのような症状が現われてくるか、といった予後を見通しやすいのが特徴です。
・周辺症状(妄想、暴言、徘徊、介護拒否etc)が一番現れやすい認知症と言われています。
 
<レビー小体型認知症>
・レビー小体と呼ばれる物質の発生により、アルツハイマー型と同じく、脳細胞が死滅することで生じます。
・記憶障害、認知機能障害に加えて実際に目の前にあるかのようなリアルな幻覚や、手足が震える、動きが緩慢になる、筋肉が上手く動かなくなるといったパーキンソン病のような症状が現れます。
・アルツハイマー型のように症状にはパターン性がありません。 日によって病状が変わり、また一日のうちでも調子の良い時と悪い時と症状に変動があります。


<脳血管性認知症>
・脳出血や脳梗塞など脳血管疾患により生じ、脳のどの部位が障害されたかで症状には多様性が見られます。また「できること」と「できないこと」での能力に差が生じやすく傍目には「やる気がない」と見られることもあります。
・脳血管障害の後遺症から合併症としてうつ病の併発がよくあります。
・男性に多くみられ、発症前後に頭痛などの身体的不調を訴える場合があります
・進行は階段上、状態が落ち着いても再発の度に悪化、状態が落ち着く、再発したらまた悪化という経過を辿ります。

<前頭側頭葉型認知症>
・委縮や外傷などで脳の前方(前頭葉)が障害されることで生じ、また複数の病気を原因に含みます。
・同じ言葉を繰り返すなどの単純な行動を繰り返す、同じ場所に何度も行く、反社会的な行動、味覚が変わる、穏やかだったのに攻撃的になるなど抑制を失う、といった症状が出ます
・また、言葉が出なくなる、理解が出来なくなるといった言語面にも障害が現れます。


身近な人がもしかして認知症?と思った時はどうしたら良い?
→まずは「もの忘れ外来」といった専門医を受診しましょう。

認知症の診断には決まったステップがあります。

そのステップとはこちら...

1)問診
2)聴診などの身体所見
3)歩行や反射などを調べる神経学的所見
4)長谷川式などの知的機能検査
5)血中ビタミンや甲状腺機能を調べる血液・尿検査
6)CT、MRIなどの画像診断

このようなステップを踏むのは認知症と他の病気との鑑別のほか、確定診断を得ることで適切な対処を可能にするのと同時に周囲への理解を求めやすくするなどの意味がある為です。

ですので、かかりつけ医などに行って話しだけ聞いて「まあ年も年だし認知症でしょう」「そっか、もう高齢だしボケちゃったのね...」みたいなのはNGなんですね。

なぜなら認知症の症状はビタミンの不足(ビタミンD欠乏症)や、ホルモンの異常、脱水などでも生じるからです
また、認知症に間違えられやすい病気、状態として「うつ病」と、幻覚のような精神症状や徘徊といった行動障害を引き起こす「せん妄」というものがあります。
ビタミン不足ならビタミンの投与で治まるし、うつ病ならうつ病の治療、せん妄ならそれを引き起こす脱水や薬物、アルコールなどの原因を取り除けば治りますので、認知症の診断にはその見極めときちんと手順を踏んで総合的に調べた上で確定診断をすることが必要になります
(ちなみにせん妄は突然生じ、認知症も突然急に進行するということもありませんので、突然変になった場合はまずはせん妄ではないか、身体に何か異常を起こしていないかを見ましょう。) 


さて、今回は簡単に概要だけお話しましたが、今後も少しずつ認知症の世界や対処法についても話していけたらと思います。
それでは!

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